気仙地方古民家再生プロジェクト

岩手県気仙地方には気仙大工による古民家が多数現存しており、建築的価値が認められています。しかし災害公営住宅の建設など被災者に直接関わることが優先され、古民家再生への支援は後回しにされています。これは仕方ない側面もありますが、一段落する数年後に再生計画を始めてもその頃には放置されていた古材は腐敗し手遅れとなってしまいます。そこで気仙大工によって建てられた古民家等の保護活動を行います。この活動は、津波により被災した地域に移築することで同じ気仙地方の歴史・文化の継承にもつながります。

なお、この活動は三井物産株式会社環境基金、公益社団法人企業メセナ協議会の助成を受けて活動しています。

活動

2013.09.04-07

2013.07.10-12

2012年の5月に見させて頂いた長安寺・三門の実測調査を、7月10日~12日の3日間と9月4日~7日の4日の2回に分けて行いました。

調査から、詰組や二階軒の完全な扇垂木の採用などにより、禅宗様の要素が強く、一階の軒を並行繁垂木とした典型的な禅宗山門にまとめられていること。また、屋根は当初木羽葺きであったが現在は銅板葺きに改められ、高欄も組高欄から擬宝珠高欄に改造されたことなどが明らかとなりました。

 

2012.11.12-15

11月12日~15日の4日間、夏に簡易調査した小松家住宅の実測調査を行いました。本建物は、明治27年に建てられた歴史ある住宅の一つです。現在も持ち主の方が住まわれており、生活しやすいよう土間をフローリング敷にするなど工夫され、過去2度の改修によって良好な状態で使用されていました。

戸袋(とぶくろ)や欄間(らんま)、鼠潜(ねずみもぐ)りといった箇所の仕上がりから、気仙大工の技術の高さを確認することが出来ました。

 

2012.08.06-10

気仙大工は宮大工的な技能も持ち合わせており、民家にもその技を取り入れることで気仙地方独特の住宅となっていることから、大船渡市にある小松家住宅及び長安寺を8月6日~10日の5日間に簡易調査を行いました。

 

2012.05.21-23

岩手県陸前高田市矢作町の的場・清水川地区は、気仙大工の手によってつくられた民家が多く残る集落であり、1983年に日本建築学会による古民家調査が行われている。これを比較資料として、2012年5月21~23日に同地区及び今泉地区の罹災調査を行いました。

また、気仙地方で最大の伽藍規模を誇る寺院の長安寺も見させて頂きました。